研究課題/領域番号 |
05554020
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
戸田 芙三夫 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036232)
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研究分担者 |
宮本 久一 愛媛大学, 工学部, 助手 (30229893)
田中 耕一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (10116949)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 包接結晶 / 分子認識 / 不斉認識 / 不斉合成 / ホストーゲスト / 不斉発生 / 光反応 / 固体反応 |
研究概要 |
光学活性ホスト化合物を開発し、それらの内酒石酸から誘導したホスト化合物アセチレンアルコールホスト化合物及び軸不斉ホスト化合物であるビス-δ-ナフトールが不斉合成反応のための優れたホスト化合物になり得ることを見出した。これらのホスト化合物を用いた固相不斉反応をいくつか開発することができた。先ず、エノン類と光学活性ホスト化合物との包接結晶へ求核試剤を固相で混合し室温で反応させるとマイケル反応が不斉選択的に起こって、光学活性付加物が収率良く得られた。更に、イリド試薬が関与する固相反応も能率良く進行し、この反応を光学活性ホストとの包接結晶中で行わせると不斉選択的反応によって光学活性反応物が収率良く得られることが判明した。固相不斉選択的反応で最も能率の良い反応は光反応であった。アミド類の光閉環反応やオレフィンの[2+2]反応なども光学活性ホスト化合物との包接結晶中で行わせると光学活性体が収率良く得られた。不斉発生の研究も優れた成果を与えた。簡単なキラルヘリセンである3,4-ビス(ジフェニルメチレン)サクシイミドが不斉結晶を形成し、この不斉結晶への光照射は光学活性な光環化生成物を与えることが判明した。分子内でのベンゼン環どうしのわずかな重なりによる分子不斉が不斉結晶形成の理由であることをX線構造解析によって明らかにした。不斉結晶の生成は又、いくつかのオキソアミド誘導体において観察された。その理由はX線構造解析によって詳細に研究した。不斉結晶への光照射は光学活性ベータラクタムを与えるので、優れた不斉合成法としても活用できる。最も興味深い研究成果は、対照的な構造のオキソアミド誘導体の分子が固相で移動を起こしつつ不斉に配列するという事実である。例えば、オキソアミドの(+)-結晶が光学活性な(-)-ホストと包接結晶を形成するという驚くべき結果である。
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