研究分担者 |
顕谷 忠俊 住友化学工業株式会社, 有機合成研究所, 主席研究員
富永 義則 長崎大学, 薬学部, 助手 (70100881)
三浦 勝清 筑波大学, 化学系, 助手 (20251035)
北條 信 筑波大学, 化学系, 講師 (50229150)
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研究概要 |
本研究では新しい1,3-双極子反応剤,特に他の方法では得難いカルボニルイリド等価体と見做せるもしくは前駆体となる合成反応剤を設計し,それら反応剤の環化付加反応による複素環化合物の立体特異的な短段階合成法を確立できた.即ち,本年度はケイ素の特性を活かした高選択的合成,新規反応の開発研究等を行った.とくに,不安定化学種を安定な有機金属分子中に閉じ込め,必要なときに取り出せるような新規反応剤を設計し創製すると共に高選択的な有機合成反応に応用する研究では,これまで発生法が限られ合成化学的な利用が不十分であったカルボニルイリドの生成法の確立に伴い,これまでにない[3+2]環化付加反応によって立体特異的にテトラヒドロフランやジヒドロフランの一段階合成法が達成できた.本新規カルボニルイリドの合成法を利用して生理活性化合物であるリグナンの短段階での合成にも成功した.本反応は1)出発物質であるクロロメチル(シリルメチル)エーテルは対応するシリメチルアルコールとホルマリンの混合物に塩化水素ガスを通すことにより容易に得られる.2)活性化剤としてフッ化セシウムを用いて,温和な反応条件下反応を達成できる.3)フマル酸エステル,アクリル酸エステルなどの活性アルケンとの反応は高収率でテトラヒドロフラン誘導隊を立体特異的に与える.4)活性アルキンとの反応では高収率でテトラヒドロフランを与える.5)スチレンや通常のアルキル基置換のアルケン,さらにはビニルエーテルやアリルアセタートなどの不活性アルケンとも良好に反応して環化生成物を与える,などの特徴を持つ.
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