研究分担者 |
飯野 貴幸 住友金属鉱山(株), 電子材料研究所, 研究員
寺島 浩一 日本電気(株), マイクロエレクトロニクス研究所, 主任
阿部 孝夫 信越半導体(株), 半導体研究所, 研究主幹
藁品 正敏 宇宙科学研究所, 衛星応用工学研究系, 助手 (50013727)
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研究概要 |
昨年度までに,走査ビーム型顕微フォトルミネッセンス(PL)測定装置の基本性能動作:(1)ビーム径10μm,(2)走査範囲1mm×1mm,(3)測定波長領域600-1800nm,(4)試料温度可変領域15〜300K,が確認されている.今年度は本装置を用いて,低温・赤外領域におけるSi結晶およびGaAs結晶の転位線近傍の顕微PLマッピングを測定し,不純物・欠陥の挙動を解析した. 引上げSi結晶を熱処理した場合,酸素析出に付随して転位が発生することから,従来,熱処理後に観測される0.77eVバンドの発光帯は,転位に関連するDラインと同一の起源と考えられてきた.しかし,顕微PLマッピングの結果では,両発光帯の分布は転位周辺で逆のコントラストを呈していることが判明し,0.77eVバンドの発光帯は,転位ではなく酸素析出物に起因することを明確に示した.さらに,酸素の転位への優先析出現象を捉えることに成功した. またSi添加GaAs結晶においては,低温のPLに現われるAs格子位置を置換したほう素の発光と,Ga空格子の関連した発光が,転位近傍において極めて高い逆相関性を示すことより,転位周辺では,組成比As/Gaが高くなっていることを明かにした. 現在,冒頭に掲げた性能をもつ顕微PL測定装置は,本装置をおいて他になく,同装置によって半導体中の不純物,欠陥の微視的分布に関する極めて興味深い情報が得られつつあり,今後,半導体物性の解明,半導体結晶の高品質化に大きく貢献するものと期待される.
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