研究課題/領域番号 |
05555008
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 順三 京都大学, 工学部, 教授 (80026278)
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研究分担者 |
酒井 滋樹 日新電機(株), 研究開発本部, 研究員
松田 耕自 日新電機(株), 研究開発本部, 副本部長
後藤 康仁 京都大学, 工学部, 助手 (00225666)
辻 博司 京都大学, 工学部, 助手 (20127103)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 負イオン注入 / 負イオンビーム輸送 / チャージアップ / 二次電子エネルギー分布 / 二次電子放出比 / 帯電緩和 / 絶縁物 / ゲート酸化膜 |
研究概要 |
本研究の目的は、現在、半導体製造過程の正イオン注入で問題となっている照射表面のチャージアップによる素子破壊現象に対して、本研究担当者らが先駆的に開発してきた負イオンビーム技術を用いることによってチャージアップ・フリーのイオン注入が可能で、かつ有効であることを明らかにし、負イオン注入によるチャージアップ・フリーのプロセス技術の基礎を確立することであった。本研究で得られた成果概要を下に示す。 1.負イオン注入を目的とした大電流負イオン源の開発: 半導体への負イオン注入に必要なイオン種であるボロン、リン、シリコンの負イオンを連続的に数mA得られる大電流負イオン源を開発した。 2.絶縁物表面の負イオンチャージアップ電位計測装置の開発: 従来不明であった負イオン注入による絶縁物表面のチャージアップ電位を計測する手法として、二次電子エネルギー分布のシフト量から計測する方法を開発し、絶縁物表面のチャージアップ電位が負の数V以内であることを世界で初めて明らかにした。 3.負イオン注入によるチャージアップ現象の解析: 負イオン注入による絶縁された電極のチャージアップ機構を詳細に明らかにするとともに、絶縁物表面のチャージアップ機構 たいするモデルの提唱を行った。 4.大面積負イオン注入のための負イオンビーム輸送系の開発: 大面積シリコン基板への負イオン注入のための負イオンビーム輸送系を開発し、負イオン注入装置の実用化の可能性を示した。 5.負イオン注入したデバイスの評価: 極薄ゲート酸化膜劣化試験用のテストデバイスに負イオンを注入して、負イオン注入では電荷中和機構が無くてもチャージアップによるデバイス破壊が無いことを示した。 以上のように、負イオン注入によってチャージアップフリーでイオン注入が出来ることを理論的にも実験的にも明確にするとともに、半導体プロセス技術として実用化の見通しを得た。今後、負イオン注入技術は次世代のULSI製造やカラー液晶TFTの製作に、多大の朗報をもたらすことになろう。
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