ラジカルビーム発生用アブレーション装置を試作し、アブレーション用のターゲット材に、アルミナ、Si_3N_4などのセラミックスと、ポリマーを用いてラジカルの発生を行なった。発生したラジカルの同定、運動エネルギー分布、ビームプロファイル計測用のレーザー誘起蛍光分光装置を設置した。これらの装置を用いて得られた知見は以下の用である。 (1)アルミナ、Si_3N_4ターゲットからは、Al、Si原子ラジカルの発生が確認された。しかし、AlO、SiN等の分子ラジカルは検出されなかった。 (2)微量の酸素ガス雰囲気中でアブレートするAlOラジカルが発生した。これは、Al+O_2→AlO+Oの反応によると考えられる。 (3)ポリエチレンをターゲットとした場合、C_2ラジカルの発生が確認された。 (4)レーザー誘起蛍光法による飛行時間分布測定より、ラジカルの速度分布を測定した。 (5)いずれのラジカルも、数eVの運動エネルギーを有していることが確認された。 (6)Al、Si原子ビームを利用して、数eVのエネルギー領域での酸化反応断面積の測定を試みた。 今後、アブレーションフルエンス、レーザー波長などの発生条件を変化して、ラジカル発生の最適化を行なう。又、ターゲット材を変えて、多種のラジカルの発生を行なう。
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