本研究では、中性原子や2原子分子ラジカルビームをこれらの元素を含む固体材料からレーザーアブレーション法により直接発生し、その特性をレーザー誘起蛍光法(LIF)で調べた。また、実用的なビーム源として使用する際の問題点の一つになると考えられるレーザー照射にともなう固体材料の劣化についても調べた。 1.Al_2O_3やSi_3N_4などのセラミックスターゲットをArFレーザーでアブレートした時、主にSi、Alなど原子種が発生する。 2.ポリエチレンポリマーターゲットからはC_2ラジカルの発生が確認された。 3.原子種の速度分布は2成分のシフティッドマックスウェル分布でよく記述でき、そのピーク速度は50eVを越える。 4.発生した原子群を矩形スリットで切り出し、シートビームを2次元LIF(2D LIF)により可視化した。 5.生成したビームの速度、ビーム広がり角などを2D LIFで調べた。ビーム広がりは照射レーザースポットサイズとスリットの幾何形状でほぼ決まっていることを確認した。これらにより、アブレーション法によれば高エネルギー、高密度のビームを容易に生成できることが示された。 固体ターゲットをレーザー光で連続照射すると、ターゲットの表面に島状の表面構造が形成される。これにともなって、ターゲットから微粒子の放出量が増加するとともに、原子・分子種の放出量は少なくなることがわかった。このような連続照射の影響が現れる代表的な照射回数は、照射エネルギーフルエンスが1.0〜4.0J/cm^2のとき、約50回であった。
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