研究分担者 |
高木 望 日本真空技術(株), 超高真空事業部, 室長
虫明 基 川崎医科大学, 物理教室, 助手 (50122453)
久保田 雄輔 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (50023726)
赤石 憲也 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (90023720)
長嶋 孝好 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教授 (30237515)
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研究概要 |
1.平成7年度においては,5,6年度に引き続き,六ホウ化ランタン(LaB_6)をスパッタ陰極材料とした新しいタイプのイオンポンプの試作開発のための基礎実験を行ない,その成果を纒めた。今年度における主要な結果は以下のようである。(1)ステンレス製高真空用容器(6インチ直径・200mm長さ)において,LaB_6スパッタ陰極材料ポンプの立ち上げを,真空度P=10-0.05 Torrのグロー放電領域によって達成した。ターボモレキュラーポンプとの併用により,8.8×10^<-9> Torrの真空度をベ-キングすることなく,繰り返し大気暴露の条件で達成出来た。(2)LaB_6スパッタポンプの特長は,そのボロン膜による水分子の高排気特性にある。その検証実験を四重極質量分析計を用いて,スパッタ放電時の分圧の時間推移測定を行なった。H_2Oの排気速度を求め,ポンプの性能と放電特性の相関を調べるため,アルゴンガスをスパッタガスとし,圧力,放電電圧電流をパラメーターとした実験を繰り返した。これによりイオンポンプの運転モードの確立が出来た。(3)グロー放電プラズマの電子密度,電子温度,プラズマ電位をラングミュアプローブで測定し,真空特性との関連を追求した。特にスパッタシースの構造解明が重要である。(4)LaB_6スパッタによる真空容器内壁への形成薄膜の評価のため,サンプル片上の薄膜のXPS分析を行なった。ボロン,酸素の膜中深さ分布測定を行ない,水分子の選択排気のメカニズム解明の基礎データを得た。以上の結果から,本研究の主目的である,六ホウ化ランタンをスパッタ陰極材料としたスパッタイオンポンプの基本特性の解明とその実用化のための基礎を培った。
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