研究概要 |
変形FP変調器は連続出力のレーザの外部に配置するだけで,レーザ出力よりもはるかに強度の大きい超短光パルスを生成できるもので当研究者らの考案したものである。本年度はこの変形FP変調器を試作し、その基礎動作を詳しく検討するとともに,光学バイアス安定化の基礎特性を評価した. まず理論的に動作の検討を行った後,7GHz領域で動作するLiTaO_3バルク位相変調器を試作し,これを用いることによって変形FP変調器を試作した.変形FP変調器はスーパーインバー上に3枚の高性能ミラーと先に試作した位相変調器を用いて構成され,光共振器の光学長はピエゾ素子で制御できるようにした.なお位相変調器自体では,16GHz帯で光波とマイクロ波の疑似速度整合を達成したものも試作し,その変調実験に成功した. つぎに,試作した変形FP変調器の動作実験を行い,従来のFP変調器に対して出力光強度が15倍以上になることを確認した。このときのパルス幅は,実時間観測では観測系の制限もあり2.9psであったが,スペクトルから逆算すると0.8psであった.光源は連続発振のアルゴンイオンレーザであり,このレーザでは従来にない光強度とパルス幅であると思われる.続いて,出力波形と出力光強度の光学バイアス依存性について測定を行い,理論によく一致していることを確認した.この結果,動作の安定化には入力FPフィルタの制御が最も重要であることが確認できた.安定化を行わない場合には光学バイアスは1分以内に最適点からはずれていったが,予備的な安定化実験においてこれを追尾させることができ,十分に安定化が可能であることがわかった.
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