研究課題
試験研究(B)
本研究は、2次の非線形光学効果による光第2高調波発生(SHG)に代表される波長変換において、結晶内分子配列が互いに平行あるいは平行に近いが故に極めて高い非線形光学性能を有する有機結晶の活用を図ることを主たる目的として行われた。平板導波路のガイド層に有機結晶を用い、周期的非線形分極反転構造を導入することによって疑似位相整合素子を構築すると共に、青色波長領域での透明性の高い新規材料の開発、様々な素子作製技術の開発、単純な分極反転構造以外の疑似位相整合法の検討などを行った。その結果、デバイスに関しては、ブリッジマン法を用いて全体が大面積の櫛形単結晶育成に成功し、これを2つ合わせた周期的分極反転構造を有する平板導波路を作製した。その周期をコヒーレンス長より短く作製しておくことで初めて角度同調による疑似位相整合SHGを達成し、精密な膜厚制御が不要であることも示すことができた。また、有機系ヘテロ構造導波路による疑似位相整合SHGを確認した。材料に関しては、芳香族イオン性化合物の分子内電荷移動効果に加えてイオン性分極に着目し、最大吸収波長が200nm近辺であるにもかかわらずp-NA並の超分極率を有する分子を開発した。これによって、カットオフ波長と非線形光学性能との間のトレードオフの問題を解決する指針を示すことができた。また、分子間のπ共役性を無くしたオリゴマーを用いても上記の問題を克服できることを示すと共に、対称性P1でありながら、これまでで最大の位相整合可能な実効非線形光学定数を有する結晶を見出した。
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