研究概要 |
本研究は,交流電位差の計測より応力拡大係数を評価するという申請者らの手法に関する基礎となる研究成果の累積を踏まえ,先駆的な本手法の実用化に不可欠な現位置適用手法の開発を図るものであり,本年度は以下の項目の解析,実験に関する研究を実施した。 1.交流電場理論解析プログラムの高度化 申請者らは,既に表皮効果を考慮に入れ,三次元表面き裂問題を二次元の交流電場問題に置き換えて解析するプログラムの開発に成功している。ここではデータ作成,最適化処理時間の短縮を図り,同プログラムの高度化を推進した。 2.高感度計測および高速データ処理 まず被試験体および計測用配線まわりの位相を正確に計測し得る装置体系を開発した。次にこれを用い以下のことを確認した。応力拡大係数の変化に伴う交流電位差の変化量は,電流入出力線と電位差計測線の位置関係(方向)により大きく変化する。応力拡大係数の同一変化量に対して,入出力線と計測線を同方向に出した場合には逆方向に出した場合に比べ,10倍以上も大きな電位差変化が計測される。よって本手法の実機への適用に際しては,入出力端子と計測端子は同方向で,かつ平行とする。これを踏まえ,応力拡大係数の情報を高感度に反映した電位差を高速度で計測するためのセンサを構成し,現在,改良の途上にある。さらに得られる複数の計測データを高速でコンピュータ処理するための検討を行った。 3.実験室レベルでの試験の充実 負荷による電位差変化の機構の追究を目的として,試験荷重を作用させたき裂試験片で電位差分布を計測した。現在,継続してデータの蓄積を行っている。
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