本研究は、はんだ接合された表面実装部品、あるいはそのモデル(単純化試験片)の熱サイクル疲労試験を実施し、はんだ接合部における破損発生の条件を求めるとともに、実用に供する際の安全性および信頼性を保証する強度評価法の確立を目的とする研究である。平成5年度において、はんだ接合部疲労破損のメカニズムの調査、データの収集をはじめ、表面実装部品およびはんだ接合部の解析システムの開発などを中心として研究を行なってきた。具体的に研究成果をまとめて述べれば、以下のようになる。 (1)影響関数法を取り入れた表面実装部品の熱伝導・熱応力の3次元有限要素解析プログラムの開発を行なった。これによって、エンジニアリング・ワークステーション上で複雑な多ピンのはんだ接合構造(リードあり、およびリードなしの両方を含む)の3次元熱伝導・熱応力解析を効率的に行なえる。さらに、汎用有限要素法解析プログラムと組み合わせることによって、はんだ接合部の弾塑性・クリープ解析を行なうことを可能とした。 (2)はんだ接合部のコンプライアンスのき裂成長による変化を考慮にいれたことによって、現在ある3次元表面き裂の影響係数のデータベースからはんだ部のき裂進展のシミュレーションを行なうことができた。 (3)購入した熱疲労試験機ではんだ接合部の熱サイクル疲労の予備実験を行なった。実験結果は有限要素解析の結果との良い一致を示した。 (4)はんだ接合部の熱サイクル疲労試験は非常に時間がかかるという問題を克服するため、熱サイクル疲労試験の加速試験として考えている機械的疲労試験(isothermal fatigue experiment)の試験機の開発を行なった。
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