研究概要 |
従来の試験装置では困難であった厚さ10〜100μmの薄膜・極薄板および径10〜100μmの極細線の疲労試験装置を試作することを本研究の第一の目的とした。これらの試料の疲労試験においては,試料つかみ部における応力集中による破断の防止と微小荷重の精密な制御が問題であり,試験の実施が困難であった。本研究では,この点に従来の疲労試験装置とは異なる空気圧式負荷機構と特殊なチャッキング機構を取り入れた試験装置を試作した。本装置により薄膜や極細線の疲労強度特性を明かにすることができる。本年度は,疲労試験装置を製作し,予備試験より新しい機構の機能を確認した。基本的に大きな問題はないが,試験条件によってチャッキングに不具合が現れることがあり,改良を行っている。また,炭素繊維試験片を用いて疲労試験を開始し,基礎疲労データの取得を図っている。 本研究の第二の目的は,試作した疲労試験装置を走査型電子顕微鏡内に取り付けて,薄膜や極細線の疲労破壊過程の詳細を疲労試験中にその場観察できるシステムを開発することである。これにより,薄膜や極細線の微小欠陥の成長等の破壊過程の微視的な連続観察が可能となる。疲労試験装置の製作時点で電子顕微鏡の組み込みを考慮して,疲労試験部分の小型化を図るとともに電子線を乱さない構造を考案した。架台やシール部分等の電子顕微鏡組み込みに必要な細部の基本設計を終了し,次年度には計画どおり組み込みができる見通しがついた。
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