研究概要 |
今年度はまず,3回反射の臨界角プリズムを用いた超精密角度センサの1号器の光学系の設計製作を行うとともに,そのセンサの検出部の電子回路の製作を行った.また,線形誤差の校正のためのレバーシステムを設計製作し,自律校正用の計算機プログラムを製作した.ついで,試作したセンサのドリフト特性を調べ,線形誤差の自律校正を行い,2/100秒の分解能と精度を保証できるという結果を得た.設計値の1/100秒の精度に達していないのは主として,電源ラインのノイズと校正系に入る外乱振動である.現在,電源系に混入するノイズを除去して,目標の1/100秒の信頼性を達成するための対策を準備している.この他に,校正系に混入する外乱振動の除振対策を検討している.これらの対策の効果により1/100秒を超える安定性が保証できれば,センサ光源の指向角のドリフト,光学系ベースの熱変形による光学部品の姿勢変化などによるセンサ自体のドリフト性能の向上も有効になり,臨界角プリズムの個数を増やした2号器の設計製作に掛かれる. 一方,絶対校正のためのシステムの設計製作も完了し,予備実験を行った.この予備実験では,約20分の測定範囲を与えて,その平均感度を2/10000の信頼性で知ることが出来た.この精度は測定範囲両端での誤差に直すと±6/100秒となり,線形誤差の精度に比べると十分ではない.この主原因は,校正に要する時間が長すぎてドリフトの影響がそれだけ強くなることにある.また,モータから生じる電磁ノイズもセンサの分解能と精度に悪影響を及ぼしていることが判明した.これらのドリフトとノイズ低減を中心とした対策を行って,もう一桁高い精度を実現すべく現在,システムの改善を計画している.
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