研究概要 |
今年度は,昨年度試作した超精密角度センサの1号器の性能試験と校正実験の結果をもとに,臨界角プリズムの個数を増やした2号器の設計製作を行った.1号器センサはその特性の詳細な検討の結果,センサの安定性は,線形誤差の自律校正の繰返し性から判断して,最大値で5/(100)秒であった.また,平均感度は4回の繰返しで2/(10000)の誤差があった.その原因の一つと考えられる電源ラインのノイズと校正系に入る外乱振動の除去に努めて自律校正システムの安定性を高めることと,センサ自身の不安定性の要因である光源の指向角の変動の除去が今年度の課題であった. まず自律校正システムの安定性を向上するために電源ラインのノイズ対策などを施した結果,線形誤差の校正結果の繰返し精度は最大偏差値で3/(100)秒,自乗平均では1/(100)以下となるなど,目標を達成することができた.つぎに,センサ光源の変動の対策として,変動補償用の受光系を追加して補正を行った結果,平均感度のばらつきが(1.1)/(10000)以内に納り,±1.5分の測定範囲を想定すると測定範囲の両端で1/(100)秒の誤差となり,これも目標をほぼ達成できた. 実施した研究によって,次の2点の新しい知見が確認された. 1)角度センサの平均感度と線形誤差に関する自律校正システムが実現され,それによって角度センサの有する分解能と安定性の限界まで校正が可能であること. 2)臨界角プリズムを利用した新しい原理の角度センサが1/(100)秒単位の精度と分解能を持つこと.
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