研究概要 |
昨年度までにペニングイオン源を利用した薄膜合成装置の試作を行い,その動作の確認を終了した,今年度は,メタンガスを原料として炭素薄膜の合成を行い,薄膜合成装置としての評価を行った.基板にはシリコンを用い,水素ガスに対するメタンガスの流量比を5%と設定して,直流放電装置内圧力を0.67Paとし,12時間の合成実験を行った.このとき,試作した超電導マグネットにより放電部に1テラスの磁場を印加した. その結果,基板温度35℃の基板表面には,濃い紺色を呈した電気伝導性を示さない薄膜が析出した.この膜をラマン分光分析で分析した結果,ダイヤモンド状炭素膜であることがわかった.これは,ダイヤモンド構造を含む炭素膜であり,本装置によるダイヤモンド膜合成の可能性を示すものと考えられる.ただし,この膜は気相中の反応と電極材料のスパッタリングの2つの反応により合成されたものであり,今後,電極材料の薄膜中への混入を防ぐなどの課題があることがわかった.
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