研究概要 |
研究対象の歩行装置は,下肢障害者用の移動装置として適用されるため,階段等を含む日常生活空間内で安定に移動することが求められる.本年度は,平成5年度に試作した歩行装置(全高1179mm,全質量136Kg)について,本体の上下動や姿勢角変動を測定し理論解析結果と比較して,装置の設計における問題点について検討を加え,検討結果に基づき装置の再設計を行い,歩行実験を行った. まず,本歩行装置の脚機構駆動系の基本特性を把握するために.各アクチュエータを駆動したときの足部作業領域および本体の変位を測定して,階段歩行等に必要な足部運動が実現できることを確認した.しかし本歩行装置の本体が歩行中に設計値より役25mm沈み込み,前後に約2°傾く等の現象がみられた.これらは安定歩行の実現上問題点であると考え,本歩行装置の静力学的特性を調べた,すなわち,本体を台上に固定した状態において足部に種々の荷重を加えて装置各部の変位を測定し,その測定結果と,脚機構の対隅すきま,駆動系のバックラッシおよび伝動軸や本体フレームの弾性変形を考慮した変位解析結果を比較し,本体の沈み込みおよび傾斜の原因について種々検討を加えた.その検討結果を基にして具体的に弾性変形を考慮した本体フレームの最適化を行ったところ,本体の沈み込みは約20mmに減少した.そして,水平面定常歩行実験を行ったところ,本歩行装置は速度50歩/分の安定な連続歩行を行うことが確認できた.
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