研究概要 |
提案した2種類のセンサー構造について基本設計を行い,構成法・製造上の問題点を比較した.浮子並進差動出力形は溝・突起などの特殊加工,2方向の連成加振などが必要で製作・評価の困難性が大きい.このため,これらが不要な浮子回転出力検波形を先行して設計試作と実験検討を進め,また浮子並進差動出力形については,磁場解析によるミュレーションを中心に応答特性を評価し,それぞれ直流的な力に対する応答性能など基本性能を確認した. (1)浮子回転出力検波形: 浮子は8極構造として,浮子と同じ磁石を回転させて,その磁場カップリングにより回転駆動させる方式を選定し,磁場のカップリング,駆動用磁場の強さ,浮子回転数などをパラメータとする実験系を構成した.磁場のカップリング方法としては,半径方向磁化と軸方向磁化を組み合せた4種類,磁場の強さは両磁石間の距離,回転数は600-1500rpmとして,実験装置全体を傾斜させて直流応答特性を測定した.この実験によって得られた結果は以下のとおりである. (a)浮子形状に応じた最適回転数,最適な回転駆動用の結合磁場強さが存在し,これらのパラメータを最適化することにより,良好な線形応答特性が得られる. (b)円筒軸受効果により加速度の方向と応答方向とは位相角が生じるが,微小変位の範囲では位相角はほぼ一定であり,加速度の方向を同定することは可能である. (2)浮子並進差動出力形: 浮子回転形とデータを共用するため,8極の場合についてシミュレーションにより,浮子の変位・出力特性を評価した.浮子は典型的な3次元構造をもつが,2次元磁場に近似した.浮子回転形における実験結果とシミュレーション結果の比較では,両者はよく一致していることから,カップリング力,潤滑膜反力に比して磁性流体浮力が支配的であることが明らかとなり,本解析法の有用性が確認できた.
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