研究概要 |
自動車等に使用されている量産歯車の焼入後の歯面仕上げとして、CBN砥粒を利用する歯車研削が世界的に多数開発段階にある。そのひとつの方法として、ねじ状CBN砥石を用いる方式を実用化するために本研究を2年間行ってきた。初年度は主に砥石の設計・製作及び実験の一部を行い、2年度は実験を主に行ってきた。 1.初年度にm=2の♯200/230番(A)及び♯140/170番(B)の粒度のCBN砥石の設計・試作した。歯数56の平歯車を対象として、A砥石を用いて、適性研削条件(速度v、送りf、切込みt)の選定を行った。f×t=0.1以内だと歯面の焼き付きを生じないことがわかった。 2.2年度にB砥石を用いて、同じ平歯車を研削した。B砥石はA砥石よりも砥粒が大きくなったが、ねじ面の整形により凹凸が少ないこと、精度良いねじ面を得た。(1),同一位置で85個研削することができ、JIS1級内の歯車を仕上げることができた。さらに個数を増すことができると考えられる。(2),砥削条件の選定においては、A砥石と同様にfを大きくすると焼き付く恐れがあり、f×t=0.1が目安となった。(3),砥石ねじ面の溶着は大きく発生しなかった。 3.A砥石を用いて、歯数49のはすば歯車を研削した。(1),砥石の作用する範囲が広い(平歯車で1.75ピッチ、はすば歯車で2.5ピッチ作用)ために、f×t=0.2と平歯車の研削に比べ2倍に研削条件を上げることができた。(2),コンベンショナル方向に比べ、クライム方向は焼き付きが生じ易いことがわかった。(3),低圧の研削油に加えて、砥石ねじ面の洗浄を目的とした高圧油の吐出口の位置及び方向の設定が、焼き付きに大きく影響することが確認された。以上のことからCBN砥石の実用化に目処が立ち、ラインの投入も可能と思われる。
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