研究課題/領域番号 |
05555063
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
棚沢 一郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30013105)
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研究分担者 |
永田 眞一 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (60013182)
二宮 淳一 日本医科大, 第二外科, 講師 (00112962)
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キーワード | 伝熱 / 凍結保存 / 冷凍 / 解凍 / 生体組織 / 生体 |
研究概要 |
本研究は、多細胞生体組織を凍結し、液体窒素温度(-196℃)で長期間保存した後、解凍して蘇生させる技術の確立を目的とするものである。これまで行ってきた微小生物の凍結保存に関する研究での知見に基づき今年度はラット・イヌ・ブタなどの血管を実験材料として選び、凍結保存を成功させるのに必要な伝熱学的条件、すなわち凍結のための最適冷却速度および解凍時の最適融解速度などを明らかにするとともに、凍害防御剤の選定と最適濃度および配合比について検討を行った。 これまでのところで最適条件と考えられる毎分0.1℃〜1℃程度の凍結速度、毎分15℃程度の解凍速度で実験を行い、主としてグリセリンあるいはジメチルスルフォン酸(DMSO)の水溶液を凍害防御剤として使用している。過去に行った小動物(ミジンコ)での実験の場合との大きな相違点は、解凍後の生死判別が厄介なことである。本年度は、顕微鏡下での組織健全性のチェックによって問題なしと判断された試料について、組織細胞の培養を行い、細胞増殖が起こるかどうかで判別を行ったが、内皮細胞・筋細胞ともに増殖に成功し凍結保存が一応旨くいっているものと判断した。現在、凍結保存後のラットの血管について同種移植を行って術後の経過を観察中であるが、かなり有望な結果が得られつつある。
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