研究概要 |
直径14mm,加熱部長さ40mm,の内蔵ヒ-タによって加熱される50本の伝熱管を,水平方向の間隙が40mmの平板間に設置し,大規模管群を模擬した実験を行った.正方格子の碁盤目配列は5列10段で,管ピッチ対管径比P/Dは1.3と1.5の2種類である.また正三角格子の千鳥配列は9列11段で,P/Dは1.3と1.5である. 実験は自然環境と強制循環の条件下で行い,それぞれの管群中の単管,中央列のみを等熱流速加熱の場合,全管を等熱流速加熱の場合について,伝熱特性を調べた.また管群中の単管及び上昇気流中の単管の限界熱流束に関する実験も行った.得られた成果は次のとおりである. (1)単管の伝熱特性を基準にすると,管群の伝熱特性は碁盤目配列及び千鳥配列とも,高熱流束の十分発達した核沸騰域では変化がない.該沸騰が十分発達するまでの中低熱流束域及び非沸騰域では単管の伝熱特性とは異なる. (2)熱流束による(1)の伝熱特性の変化の違いは,自然環境及び強制循環のいずれの場合も定性的には共通している. (3)自然環境の場合には,非沸騰から中熱流束の核沸騰の範囲で熱伝達が促進され,この場合に単管と同じ特性を示す最下段管から情報に向けて,管段数が増すほ熱伝達係数は改善される. (4)強制循環の場合には,管群の影響があらわれる中熱流束までの範囲で,流速の増加とともに熱伝達係数のレベルは上昇するが,高さ方向には熱伝達係数は下端からの段数とともに最初は増加するが,やがて反転して減少するようになる. (5)管ピッチの影響に関しては,自然循環の場合にはP/D=1.5の方,強制純化の場合にはP/D=1.3の方が熱伝達はよくなる. (6)碁盤目と千鳥の配列を同じP/Dで比較すると,自然環境の場合には千鳥配列の熱伝達係数が僅かに高くなるが,強制循環の場合には殆ど差がない.
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