水中に、水と不溶解な冷却媒体R113液またはフロリナ-ト液を直接注入し、直接接触熱交換により氷を生成・貯蔵する氷蓄熱装置を製作した。この装置を用いた製氷実験により、以下のことが明らかとなった。 (1)液液直接接触冷却特性:ノズルより注入した冷媒液による水の冷却特性を調べるため、水槽内の多点に配置した熱電対により、各点の温度変化を計測した。冷媒液流量が増加すると、冷媒液による水の攪拌効果が増すため、水槽内の温度分布は均一化し、また、上下の温度分布が逆転する水温が4℃よりも下降する。 (2)氷晶の初生:氷晶が初生する水の過冷度は、0.1Kから0.5Kの範囲であり、冷媒液流量の減少および冷媒液注入温度の減少に伴いその過冷度は増加する。氷晶の初生位置は特定できなかった。 (3)氷晶の成長過程:顕微鏡を介したビデオ映像の観察によると氷晶の形状は非常に薄い円盤状のいわゆるフラジルアイスと呼ばれるもので、単独で流動中のものはきれいな円盤を保ちながら半径方向にのみ薄く成長する。氷晶同士互いに合体したものや、壁などに付着し静止した氷晶は、いびつな円盤状に変化してゆく。ここで生成されたシャーベット状の氷は、融解特性や運搬特性に特に優れる。 (4)槽内に超音波振動を与えることにより、氷晶の初生する過冷度は減少し、均一なフラジルアイスの形成が促進される傾向がみられるが、今後の詳細な検討が必要である。また、製氷・融解過程のモデル化とシュミレーションが必要である。
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