研究分担者 |
安住 一郎 石川島播磨重工業, 技術研究所, 研究員
斉藤 修 石川島播磨重工業, 技術研究所, 研究員
小林 信之 石川島播磨重工業, 技術研究所, 課長
西村 秀和 千葉大学, 工学部, 助手 (70228229)
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研究概要 |
宇宙機搭載型のロボットアームや軌道上作業機のような空間浮遊型宇宙ロボットの近い将来の実用化が期待されている.空間浮遊型宇宙ロボットが軌道上で作業を行う際にはロボットアームの運動に伴う反力により宇宙機本体の姿勢変動を生じるので,これを低減する制御方式の開発が望まれている. 空間浮遊型宇宙ロボットの場合,システム特性がアームの運動の関数となる非線形性があり,アクチュエータであるスラスタ,リアクションホイルなどは制御力に拘束があり,かつ,消費する燃料が有限であるのでなるべく制御エネルギを小さくする必要がある.本研究では,この様な制約のもとに最適な姿勢制御を実現する制御方式の開発を目的とする.特に,本研究は,宇宙ロボットが作業中に強い力学的非線形性を有するため,線形制御系として制御系を設計した場合,姿勢制御に多くのエネルギを要したり,あるいは多くの時間を要することになり,結果的に宇宙空間での高速な作業が不可能になる問題に着目し,非線形適応制御の有力な方法で優れたロバスト性を有するスライディングモード制御を宇宙ロボットの姿勢制御に適用することを最大の特色として研究した.特に,スライディングモード制御のうち連続時間設計の場合と離散時間設計の場合とでその性能がどのように異なるかを詳細に検討した.この結果,離散時間スライディングモード制御が宇宙ロボットの姿勢制御にきわめて優れていることが明らかになった. 本研究ではデブリ捕捉回収時の姿勢変動を念頭において安定に抑制する制御方式を開発するため,本体姿勢が回転1自由度の単腕2リンク模型を用いた実験により,連続時間スライディングモード制御,離散時間PD制御,離散時間スライディングモード制御の3種類についてシミュレーションと実験から比較検討し離散時間スライディングモード制御がディジタル制御理論のデッドビ-ト制御に類似した性能を見いだすことによってチャタリング抑御に優れた,そしてロバストな制御系を構成できることを明らかにした.
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