球面4節連鎖であるフックス継手を変形して3重に組み合わせた等速自在継手を応用して、独自な関節機構を開発してきた。これまでの試作機構は、外側にシェル状のフックス継手を設け、その中間部にプッシュ/プルロッドを2本取り付けて駆動する方式であった。そのため操作性に優れていたが、力の伝達経路が複雑で力学的解析が難しく、そのうえ、外部にロッドが露出し衝突などの事故に弱いなどの欠点があった。そこで、本研究では、外部のシェル状フックス継手を取り去り、等速自在継手そのものの基部側のリンクへ直接プッシュ/プルロッドを取り付けて駆動するモデルを試作第3号機として提案し、実用設計を行なうために、力学的解析手法と設計手法確立するべく研究を進めてきた。平成6年度は、中間部のリンクの変形を考慮した静力学解析の手法を開発でき、対偶部の力と力のモーメントを計算できるようになった。そこで、本年度は、まず、最適設計のためのリンクの軽量化について検討した。その結果、以下のような手法で軽量化を進めることにした。(1)まず、機構学的条件を満足した形状のリンクについて静力学解析を行なって、対偶力と力のモーメントを算出する。(2)求めた対偶力を荷重として、構造解析を行い、応力の分布状況を確認する。(3)応力値の小さな部分から肉落し行なって、リンク形状を仮決定し、再び構造解析を行なう。(4)応力の分布に不適切な部分が発生する限界まで、【encircled3】を繰り返す。(5)応力分布に適正さを欠きはじめる限界の形状を第2の仮形状とし、対偶軸軸受位置の変位に着目してリンクの変形特性すなわちコンプライアンスを求める(6)その特性値を静力学解析に用いて対偶力と力のモーメントを再計算する。求めた対偶力を用いて手続き(1)からまた繰り返し最適形状を決定する。この手法は計算時間のかかる構造解析を多用するので、今後は、計算速度を向上させる必要がある。この設計法確立の他に、試作第2号の機制御ユニットを完成し、制御プログラムの作成を行なった。その結果、関節の動作に70Hz近傍の振動が残った。今後、制御ユニットの補償回路の回路定数の調整を十分に行なうべきであると考えている。
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