研究概要 |
当初,本研究で試作する無効電力補償装置の容量は20kVAを考えていたが,,研究室の実験設備の都合から10kVAに変更し,4段直列多重電圧形インバータを用いた無効電力補償装置を設計・製作した。10kVAの試作装置を用いた基礎実験により,0→100%の無効電力制御を20msで達成できることを確認した。この応答時定数は,無効電力補償装置の解析モデルを構築し,理論的に導出した無効電力の応答時定数の解析結果とほぼ一致した。 次に,瞬時無効電力のフィードバック制御を付加し,従来は不可能と考えられていた応答時定数5msを達成した。これらの理論解析と実験結果は,平成6年1月に電気学会半導体電力変換研究会で発表し,無効電力補償装置の研究・開発に携わっている研究者・技術者に大きなインパクトを与えた。平成6年10月にはIEEE/IAS Annnual Meetingで論文を発表する予定である。 さらに,系統インピーダンスや種々の定数を忠実にシミュレートした無効電力補償装置のシミュレーションプログラムを開発し,これを用いてロスレススナバ回路の動作原理,すなわちスナバコンデンサに蓄えられたエネルギーが損失とならず,直流側に回生できることを確認した。なお,ロスレススナバ回路の損失低減効果を平成5年度に実験により確認する予定であったが,無効電力補償装置の設計・製作に時間を費やし,平成6年度に行うこととした。
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