研究課題/領域番号 |
05555087
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平木 昭夫 大阪大学, 工学部, 教授 (50029013)
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研究分担者 |
岡田 繁信 (株)島津製作所, 航空機器事業部, 主任研究者
八田 章光 大阪大学, 工学部, 助手 (50243184)
伊藤 利道 大阪大学, 工学部, 助教授 (00183004)
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キーワード | ダイヤモンド / 半導体材料 / 多結晶薄膜 / ECR放電 / プラズマCVD / パルス変調 / 発光分光測定 |
研究概要 |
本年度は既設の有磁場マイクロ波プラズマCVD装置(ECRプラズマ)に改造を加えて、本研究の目的である半導体ダイヤモンドの常温合成に必要な、パルス変調プラズマによる薄膜作製の基礎実験を行った。 パルス変調マイクロ波電源を用いたパルス変調放電でプラズマを生成し、ダイヤモンド薄膜の作製を行った。パルス変調することで、マイクロ波電力の大きさだけでなく、変調周波数、デューティー比、変調波形等の新しい制御パラメーターが得られた。これらの制御パラメーターについて、ダイヤモンド成膜のための最適条件を調べると共に、得られたダイヤモンド薄膜の物性について、従来の定常プラズマのものと比較した。 その結果、同じ平均電力を用いたパルス放電では、定常放電の約2倍の成膜速度が得られること、及び、得られた薄膜は定常放電の場合と遜色ない多結晶ダイヤモンド薄膜であることが明かになった。このことは、従来の半分のマイクロ波電力で同じ成膜速度が得られることを意味し、プラズマへ与える電力の低減によって、基板の低温化が期得できる。すなわち、本研究目的である低温基板上へのダイヤモンド成膜を実現するための大きな成果である。 一方、本年度購入した分光器を用いてパルス変調プラズマの発光分光を行い、ダイヤモンドの原料ガスがプラズマ中で分解される過程を観測した。特に、ダイヤモンド成長に重要な役割を果たすと考えられている原子状水素の発光の時間変化を観測した結果、その生成に必要な時間などが明かになった。この結果は、成長に最適なパルス放電条件とよく一致している。このようなパルス変調プラズマの観測は、プラズマの中でのダイヤモンド成長過程解明の大きな手がかりとなることを示した。
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