研究概要 |
本年度は,光変調分光システムの高真空半導体処理装置への組み込みと基礎データの収集を行うとともに,平行して真空中でのGaAs(001)表面の電子状態に関する基礎データで得るために現有の電子ビーム変調光反射測定装置を用いて予備実験を実施した。この電子ビーム変調光反射測定は,光変調分光と同様な微分反射信号を得ることができるので,これら一連の実験結果は変調量が定量であるために光変調反射測定データを解析する上で重要なデータベースとなる。まず、高真空半導体処理装置に光変調反射測定システムを組み込むために,真空装置内での光学系の設計を行い基本的な反射分光測定による光学系の調整をした。この光学系として,通常のGaAsに対する光変調反射測定とともにGaAs表面のダイマーなどの再構成構造に関する光学遷移を捕えるために,測定スペクトル領域を1〜3eVの範囲に拡大したものとした。次に,予備的な実験として実施した電子ビーム変調光反射測定では,GaAs(001)表面において表面ポテンシャルが変調条件により制御できることがわかり,この実験結果を基にして測定感度の最適条件などについての有用な知見を得ることができた。また,電子ビームの局所照射が可能であるという特徴を利用して変調反射測定の空間分解能に関する測定限界を探り,約10μm中の領域からの信号の確認を行い,この手法の有効性を明らかにした。
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