研究課題/領域番号 |
05555090
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
京兼 純 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50043469)
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研究分担者 |
泉 生一郎 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (50043477)
高橋 晴雄 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (20043458)
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キーワード | イオンビームアシスト法 / 導電性有機物質 / 蒸着薄膜 / TCNQ錯体 / 電解質 / 有機固体コンデンサ |
研究概要 |
イオンビームアシスト蒸着法を用いた有機固体コンデンサの開発という目的で研究を遂行し平年6年度に得られた結果を概説すると以下のようになる。 ○有機固体コンデンサの要である固体電解質は、電子性伝導を持つ各種導電性材料のうち、ドナーを、4,4'-ジピリジル誘導体、アクセプターをTCNQとしたTCNQ錯体が5S/cm^2まで導電率が上昇し、かつ単位面積当たりの容量出現率が最も大きくなっている。 また同時に固体電解質として使用している蒸着膜は、イオンの照射効果により、結晶構造および高次構造が制御でき、一様で均質な薄膜が形成されている。 ○コンデンサの容量値は理論容量2μF/cm^2のAI箔を利用して、これまで試みてきた各種の蒸着法(熱蒸着法・イオンプレーテング蒸着法・コロナ帯電+振動電極法)に比べ、イオンビームアシスト蒸着法の場合が飛躍的に増加することが明らかとなった。特にイオンビームアシスト蒸着法で得られた静電容量は、イオンビームエネルギーとイオン電流密度およびイオン種(ここでは、Ar^+ N^+ He^+を利用)に著しく依存することが分かった。 現在までに得られた最高容量はHeイオンを使用した場合であり、さらにAI箔基板を回転させることにより1.54μF/cm^2の容量値を得ることが出来た。 この静電容量は77%の容量出現率であり、これまでの最高値となっており熱蒸着法の実に14倍まで上昇している。 ○容量出現率はピット径を一定とした場合、錯体分子サイズに大きく依存し、現時点においてはTCNQ錯体のドナー・アクセプター比が1:1.3のとき容量出現率が最大となっている。
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