平成5年6月から7月までは多値レジスタ、情報転送、アナログ演算、桁上げ、表示回路など要素となる回路を設計し、その回路のコンピュータ解析を行い、必要とする部品等の注文をおこなった。手作業による試作は7月から始め、コンピュータシミュレーションは引き続き繰り返し行った。電子回路製作をプリント基板加工機を用いて本格的に行ったのは10月からである。試作できしだい、その動作を確認し、検討して手直しの製作するという実験を繰り返した。システム要素を接続した状態で機能を確かめる実験もして検討を重ねた。 コンピュータシミュレーションでは動作する10段の多値レジスタ回路を実際に製作すると困難が生じた。これは多くの部品の接続による誤差や浮遊容量の増大や特性変化が影響したもので、これに代わって±10%の許容誤差を持つ5段のレジスタ回路を製作して、これを中心に構成することを試みた。このシステムはソロバンと同じように5進数の多値演算回路とデジタルの桁上げ回路を組み合わせた演算回路であり実用的であった。 研究成果としてはデジタル、アナログ、多値が混合して演算機能を実現する新しいシステムを構成する際に必要とする多段のレジスタ、情報転送、アナログ演算、桁上げ、表示などの新しい電子回路を実用的なレベルで実現し、その動作特性を得ることができた。 これらの研究成果は機会に応じて別紙に示すように発表した。
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