研究概要 |
光ディスクの情報大容量化とその高速読み出しを達成するための基礎研究として赤色レーザ光(Hc-Nc,波長0.633μm)を使用し、その波長以下の微小物体を遠隔場で識別可能にする超解像度レーザ顕微鏡システムの開発をめざして研究を行い,以下のような結果を得た。 1.極微小スポット光群の照射光学系の検討 10mm×10mmの中に20μm×20μmの大きさのセルで隣同士の位相差がπ異なる市松格子模様の位相シフト光学マスクにレーザ光を照射し,開口数0.80の縮小投影レンズでその光を収束してレ-リ限界を越えたピッチ0.66μm,スポット径0.33μmのスポット光群を作ることができた。 2.読み出し光光学系の検討 結像理論に基づいた数値シミュレーションから,上記光学系で得られたレ-リ限界を越えたスポット光群を走査することによって,スポット径の分解能をもって微小物体を遠隔場で並列に識別読み出しできることが予測できた。 3.高密度光ディスクの実用化の可能性 上記の照射および読み出し光学系を用いたシステムによれば,ピット間隔0.70μm,ピット径0.35μm程度の並列読み出し可能な高密度光ディスクシステム実用化への見通しを与える。 4.今後の課題 本光学システムはレンズ系を用いた屈折型縮小投影光学系によるものであるが,更なる高密度化のためには光の振幅と位相が制御可能な回折型のバイナリ光学系の検討が重要であり,今後の課題である。
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