研究課題/領域番号 |
05555107
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
計測・制御工学
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研究機関 | 金沢大学 (1994-1995) 北海道大学 (1993) |
研究代表者 |
山越 憲一 金沢大学, 工学部, 教授 (40014310)
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研究分担者 |
中川原 実 日本電気(株), 医療機器事業部, 課長
田中 一男 金沢大学, 医学部, 助教授 (00227125)
小林 勉 金沢大学, 工学部, 教授 (40019922)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 無侵襲・無拘束生体計測 / 電気的アドミタンス法 / 容積振動法 / 循環機能情報 / 姿勢情報 / 携帯型モニタシステム / 日常行動と循環動態 / 在宅健康管理 |
研究概要 |
3年度(平成5〜7年度)に渡る研究を通し、得られた新知見等の成果の概要を箇条書すれば以下のようである。 1.無侵襲・無拘束循環動態モニタシステムの基本設計と開発:(1)無侵襲計測法の検討;本システムの開発に当り、その基本となる無侵襲計測法として、血圧(BP)計測では、その精度と信頼性等に優れた光電的容積振動法を、また心拍出量(CO)計測では生体組織の電気的物性の違いを利用した胸部アドミタンス法を採用し、各々の超小型化を図った電気制御回路を開発した。特に、生体アドミタンス計測では、従来法とは異なる4電極交流(50kHz)電圧クランプ法を考案し、回路の大幅な縮小が実現された。更に、BPやCO値を決定するに当り、CPUによる信号処理を高精度・高信頼に実行するアルゴリズムも開発した。(2)システムの基本設計と試作開発;以上の知見に基づき、電気的アドミタンス法と容積振動法を併用した小型軽量(104x64x32mm,160g)の循環動態モニタ用携帯システムの設計・試作開発に成功した。本システムによれば、BP、CO以外に末梢循環抵抗や心臓酸素消費量指標等の全8項目が長時間同時モニタできる。(3)姿勢情報を含むシステムの基本設計と試作開発;循環生理情報が姿勢・行動変化に大きく影響を与えることに注目し、日常生活の姿勢変化を長時間モニタできるタバコ大サイズの携帯ユニットを設計開発し、前記システムと組合わせた無拘束循環動態・姿勢計測システムの開発に成功した。 2.システムの試用と性能評価:1.で得たシステムを先ず実際に日常生活場での予備試験的に試用し、システム評価を行ったところ、中強度の運動時や急激な体位変換時等では、ア-ティファクトにより計測困難な場合があったが、全体として安定で信頼できる動作性能を有していた。更に、COの長時間計測の追随性と信頼性を検証するため、侵襲的長時間連続測定装置(Baxter社Vigilance)との対比試験も行い、本法の優位性が実証された。 3.長時間モニタとデータ解析:以上の所見から、本システムを健常者や院内或は通院している循環器疾患加療患者を対象に24時間以上のモニタリング試験を実施した。得られた長時間時系列データに対し、最大エントロピ法(MEM)解析を適用し、日常行動と非行動による各種循環パラメータの周期構造に及ぼす影響、投薬加療に伴う主に血圧の周期構造に与える影響、夜間血圧低下の心機能性或は末梢循環性因子の寄与度、実験室及び日常生活における血圧昇圧機序の状況恒常性と固体恒常性の関連性など、心理生理学的、循環生理学的並びに臨床生理学的な興味ある新知見を得た。 4.総合評価と実用化への検討:一連の開発研究とシステム試用の実験的検討を通して、本研究は当初の目標をほぼ達成し、またシステムの有用性と実用性が立証出来たと言える。現在、本研究で考案・開発したシステムについて、メーカーによる製品実用化が検討されており、本研究成果はその基礎資料として期待されている。
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