研究分担者 |
竹内 康人 横河メディカルシステム(株), 研究開発部, 研究開発課長
鈴木 英男 (株)小野測器, 音響技術研究所, 研究開発部長
小岩 喜郎 東北大学, 医学部, 助教授 (80091685)
田中 元直 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40006094)
金井 浩 東北大学, 工学部, 助教授 (10185895)
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研究概要 |
動脈硬化は30代以前から進行し、発病前の早期段階での無症候性動脈硬化の診断技術や、個人個人の動脈硬化の経時変化の計測技術の開発が、早期治療や循環器疾患の予防制圧に必要不可欠となる。しかし、広く普及している超音波診断装置や日本が世界で最も進んでいるとされる従来の超音波計測技術を用いても,大動脈壁や心臓壁上の微小振動を,数拍にわたって連続計測することはできなかった。そこで本研究では、新しい超音波計測・診断法のための装置を作製し、机上では得られない問題点の検討と、実際に多くの患者に関する適用・評価を行って、従来にはない全く新しい循環器系の定量的精密計測・早期診断法を確立を目指して次の研究を行った。今年度の本研究では、まず、平成5年度に作製した臓器内微小振動計測装置のプロトタイプを用いて、多くの正常者と動脈硬化症の患者の動脈壁の振動を抽出した。多種多様な多くのデータを解析する上で新たに生じる問題点を検討し、診断装置を工学的に改良しながら、得られた振動信号に対して、得られた脈波伝搬特性(速度など)の分析結果を正常な人の処理結果と比較した。さらに、これらの結果を平成5年度に実施している水槽モデル実験と対照させ、循環器疾患に伴う動脈壁組織の力学的特性における変化の定量化を行った。本研究の成果により、従来の超音波診断装置では計測できなかった、心臓・大動脈などの臓器内の生体組織の振動や弾性的特性など、全く新しい情報が非観血的に体表から簡単に決定出来るようになったと言える。これらの成果は今後,内臓各種疾患の診断・治療・進行予防の分野に大きな意義を持つものと考えられ,さらに,組織診断に関する新しい生命科学の領域へ発展できるものと期待している。
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