雑音除去手段を全て含む導波路型デバイス構成受動型共振方式光ファイバジャイロの試作

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05555111
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 保立 和夫 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60126159)
• 研究分担者: 山下 真司 東京大学, 先端科学技術研究センター, 専任講師 (40239968)
• キーワード: 光ファイバジャイロ / 共振方式光ファイバジャイロ / 光ファイバセンサ / ナビゲーション / コヒーレント光センシング

研究概要

次世代光ファイバジャイロとして注目される[受動型共振方式光ファイバジャイロ]の光学系を、全て導波路型あるいは光ファイバ型デバイスにより構成し、申請者が独自に開発してきた複数の雑音低減手法を全て盛り込んで、航空機のナビゲーション用等の最高級グレードジャイロが達成可能なことを示すのが本研究の目的である。上記目的を達成するために、本年度は以下のような研究を進めた。
偏波状態変動誘起ドリフトの低減方法としては、偏波維持光ファイバを90度捩って接続して共振器とする手法が良いことが分かっており、実験系にはこの手法を導入している。一方で、より高性能・低価格を達成するための別の共振器構成も探究している。捩った単一モード光ファイバとλ/2素子を用いる手法もその候補であり、本共振器により得られるジャイロ性能を理論的に評価したのに続き、実験により理論的予測通り安定な共振特性が実現されることを実証した。さらに新しい構成として、捩った単一モード光ファイバのみで作られる共振器も発明した。これは、右回りに捩られた単一モード光ファイバと、左回りに捩られたそれを接続した構成で、両者の長さの差が丁度捩れで誘起された円複屈折のビ-ト長の1/2に設定されている。この共振器により、やはり安定な共振特性が得られ、さらに共振偏波状態が常に円偏波となることが示された。円偏波が共振偏波状態であることにより、光ファイバが示すファラデー効果をジャイロ信号の処理に活用できることとなり、その意味でも有用な共振器構成である。実験系において理論通りの特性を得ることに成功した。さらに本研究で用いている導波路型光位相変調器の駆動方法として、デジタルセロダイン方式を考案した。これはD/A変換器により作られる折れ曲りのある波形によってもセロダイン変調が精度良く実現できることを見い出した手法であり、この結果、複数の雑音対策がデジタル的に行えることになる。現在、ジャイロ系の構成を進めつつ、本手法の詳細な検討を行っている。

研究成果

• [文献書誌] 保立和夫: "光ファイバジャイロ" レーザ学会レーザ研究. Vol.22 No.4. 253-164 (1994)
• [文献書誌] C-X Shi & K.Hotate: "Bias of a resonator fiber optic gyro composed of a polarizatiou-waint-aining fiber ring resouator with the photoinduced bire fringent grating" IEEE Jour.of Lightwave Technology. (採録決定済). 253-164 (1995)
• [文献書誌] C-X Shi & K.Hotate: "Bias of a resonator fiber optic gyro composed of a polarizatiou-waint-aining fiber ring resouator with the photoinduced bire fringent grating" Instrumentation and Measurewent Technology Conference(IMTC'94). 416-419 (1994)
• [文献書誌] K.Hotate: "Polarizatiou problew andCouuter weasures in passive/active resouator fiber optic gyros<invited>" SPIE Fiber and Laser Sensors. 227-239 (1994)
• [文献書誌] K.Hotate & T.Kurakake: "Optical Fiber riug-resouator composed of an ordinary single mode fiber for resouator fiber optic gyros:Experiment" Iuteru.Conf.on Optical Fiber Sinsors(oFS'94). 434-437 (1994)
• [文献書誌] 伊東俊治,保立和夫: "捻り単一モード光ファイバを用いて偏波状態を安定化した光ファイバリング共振器" 電子情報通信学会春季全国大会(シンポジウム). SC3-2 (1995)
• [文献書誌] 保立和夫: "光ファイバジャイロ「レーザ技術の新展開」の一節" レーザ学会, 369,335-340 (1994)