次世代光ファイバジャイロとして注目される[受動型共振方式光ファイバジャイロ]の光学系を、全て導波路型あるいは光ファイバ型デバイスにより構成し、小型・安定化を図るとともに、この系に申請者が独自に開発してきた雑音低減手法を盛り込むための検討を行うことが本研究の目的である。光がジャイロ系内で常に導波路中にあることは、まず耐環境性向上にとって必須であり、本試作は実用化に向けての重要かつ不可欠なステップといえる。3年間の研究期間に、以下のような成果をあげ、本研究の目的を達成した。 1.本研究の目的に合致した新方式としてデジタルセロダイン方式共振型光ファイバジャイロを発明し、実験系を完成させた。本方式は、共振型光ファイバジャイロの信号処理にとって不可欠な入力光の周波数制御を光位相変調器をD/A変換器出力である段階状波形で駆動することにより行うという独自の手法である。本実験系は、干渉方式光ファイバジャイロ用に実用化されている光集積回路であるI-FOGチップを導入し、光導波路型/光ファイバ型デバイス構成となっている。I-FOGチップ中の2つの位相変調器を上記デジタルセロダイン波形で駆動し、実際にジャイロに加えた回転による共振周波数変化を、この駆動波形のパラメータに帰還して補償し、零位法により回転検出を行うことに成功した。 2.デジタルセロダイン方式は、その駆動波形を論理回路で合成できることを示した。また、7桁という広いダイナミックレンジを12ビット程度のA/D、D/A変換器で達成できることも示した。更に、駆動波形を変形・制御することで、[後方レ-リ散乱誘起雑音]および[光カー効果誘起雑音]への対策が施せることも明らかにした。尚、本実験系には[偏波状態変動誘起雑音の低減手法]、[ファラデー効果誘起雑音の低減手法]も盛り込まれている。 3.やはり本研究において発明したねじり単一モード光ファイバを用いた新しい共振器の実験系を作製し、良好な特性を得た。 4.光ファイバリング共振器に利得を持たせたリングレーサにより能動型光ファイバジャイロを構成するための基礎検討を進め、ブリルアン方式において回転検出に成功した。
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