研究概要 |
初年度である本年度の研究計画およびこれらに対する研究実績の概要は以下の通りである. 1)反射電子ビーム偏向計測装置の設計・試作ならびに計測電子回路系の設計・試作 2)反射電子線トモグラフィの再構成アルゴリズムの開発・評価 3)高周波漏れ磁界分布計測の基礎実験 1)に関しては,偏向計測装置の設計ならびに電子回路系の設計が終了し,これらの設計をもとに,すでに日立製作所において製作され,納入済みである.なお,今年度増額分により,コンピュータ制御方式によるステージコントロール機能を追加した結果,偏向量の高精度自動計測化が可能となった. 2)に関しては,すでに再構成アルゴリズムを考案し,コンピュータ・シミュレーションによりその有効性を検証した.本手法による磁界の再構成精度は,平均誤差20%程度で数千ガウスの磁界強度まで再構成可能であることを確認しており,実験においても予定通りの計測精度が得られるものと期待している.すでに,その成果の1部を電子情報通信学会技術報告および応用物理学会等で発表している.なお,今年度増額分により,コンピュータの主記憶容量を増設した結果,当初の予定よりも50%程度,再構成演算時間を高速化できた. 3)に関しては,偏向計測装置の納入が予定より若干遅れたが,この間,現有の偏向計測装置を利用してシミュレーション実験を実施し,高周波漏れ磁界分布の計測の際に問題となる電子ビームの走行角効果を補正した高精度再構成アルゴリズム開発のための基礎検討を行ってきており,今後の研究遂行上,特に問題となるような点は,現在のところ出てきていない.
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