研究概要 |
1.現在のCバンドマイクロ波散乱計をワゴン車上に取り付ける架台を当研究所試作工場で製作した.これにより任意の入斜角および異なる送・受信偏波の組合わせ(HH,HV,VH,VV)で計測できるようになった. 2.現在稼動中のマイクロ波センサー搭載衛星E-ERS-1はVV偏波,J-ERS-1はHH偏波である.VV偏波とHH偏波による後方散乱係数(σ^O)の相違を明らかにするため,裸地および草地においてそれぞれの偏波の組合せによる計測を行い,σ^0を比較した.その結果,両者間のσ゚はほぼ一致することがわかった. 3.入射角とσ^0との関係を調べるため,裸地と草地において,入射角を20゚から50゚まで5゚ずつ変化させて計測を行った.その結果,裸地では角度の増大に伴いσ^0が低下する明確な角度依存性が認められるが,草地では30゚以上になると一定のσ^0となることがわかった. 4.E-ERS-1とJ-ERS-1の飛来に同期させた地上観測(車載散乱計による計測と直接土壌サンプリング)を5〜10月の間に合計8回実施した.初期の地上観測では,直接土壌サンプリング地点数と平均土壌水分量の関係を調べ,適切なサンプリング間隔が決定された. 5.裸地平坦面においては,波長がほぼ同じ車載散乱計とE-ERS-1とによるσ^0は,土壌水分量との間に同等な関係を認めることができるが,表面粗度の変化が大きい耕地では,地上散乱計と衛星との間で視野の範囲が大きく異なるためか,前者の方がσ^0と土壌水分量の間にバラツキが大きい.地上散乱計で衛星の解像度に対応するσ^0をどのように計測するか,これからの課題である.
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