研究概要 |
平成6年度は現地において詳細な観測・調査を行い,平成5年度に行われた実験・数値解析の結果との比較検討を行った.また濁質発生の一要因となっている,湧水侵食によって斜面上に形成されるガリに関する実験及び解析を行い,その形成メカニズムを明らかにした.これによって以下の諸点が明らかとなった. (1)森林率とその流域の河川の土砂濃度の関係を現地調査し,森林率が0%では,濃度が1000-5000ppmに達するのに対し,森林率が20%であれば100ppm程度となることが明らかとなった.森林率が100%では,10ppm以下であった. (2)土砂濃度とリン濃度の相関は非常に高く,濁質を捕捉することによって栄養塩類も除去できることが分かった. (3)一方,風による土砂移動を森林帯が防止する効果を数理モデル並びに風洞実験により定量化した. (4)現地においてモデル流域を設定し,濁水流入実験を行った.その結果,水道(みずみち)が出来ないように均等に流入させることが重要であることが分かった. (5)斜面からの地下水浸出によって,ガリが発生する機構を安定解析により求め,実験により確かめた.その結果,卓越波長が存在することが明らかとなり,理論予測される波長は,実験結果と概ね一致した.
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