河口・沿岸海域の水環境管理のためのコンピューター支援システムの開発

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05555146
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 中辻 啓二 大阪大学, 工学部, 助教授 (10029324)
• 研究分担者: 水鳥 雅文 電力中央研究所, 水理部, 主査研究員 ; 冨永 晃宏 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135530) ; 藤田 一郎 岐阜大学, 工学部, 助教授 (10127392) ; 福嶋 祐介 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (40111661) ; 綾 史郎 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (00026361)
• キーワード: 可視化 / 水環境管理 / 3次元数値実験 / 一般曲線座標系 / 画像処理 / 人工衛星画像 / コンピューター・グラフィックス / 沿岸・河口域

研究概要

河口・沿岸海域の適正な利用のための水環境管理や環境創造の政策を立案・決定する過程で、目に見えた形で河口・海域の物理現象を捉え、物質の輸送・分散過程を把握することが第一義的に重要である。分担者が各自で開発してきた数値モデルや画像解析技術を相補的に利用し合い、さらに衛星写真や航空写真の画像解析技術を駆使して、流れや物質輸送の時間変化を表現できるシステム作りを目指した。得られた成果を分担者別に示せば以下のようになる。
1.中辻はワークステーションを用いて大阪湾の三次元流動の数値実験を実施するとともに、流速ベクトルと密度構造を同時に呈示できるCGの開発を行った。
2.綾は一般座標系を用いた高精度・高分解能のCG利用による数値実験結果の可視化処理について検討した。
3.福嶋は流れのパターンを画面上に表示し、流れに対する理解を深める支援システムの可能性を追求した。具体的には流線、タイムライン等の表示プログラムの作成に努めた。
4.藤田は洪水時の航空写真を収集し、それらの画像を対象にしてイメージ・スキャナを用いて表面流速の画像解析を可能とするパソコン・システムを開発した。
5.冨永は従来から実施してきた複断面水路の大規模構造を可視計測する手法の開発を行った。
6.水鳥は人工衛星からの可視・熱赤外線画像を用いて沿岸海域の物理現象を可視化するとともに、現象の定量化を図る方策について検討した。

研究成果

• [文献書誌] 中辻 啓二: "沿岸海域における流動・拡散の可視化" 水工学論文集. 37. 793-798 (1993)
• [文献書誌] Fujiwara,T.: "Tidal-jet and Vortex-Pair Driving of the Residual Circulation in Tidal Estuaries" Continental Shelf Research. 15(登載決定). (1994)
• [文献書誌] 吉田 大: "河口密度流の観測と数値解析" 土木学会年次学術講演会講演概要集. 48. 626-627 (1993)
• [文献書誌] Ichiro Fujita: "Image Analysis of Aerial Photographs of Flood" Proc.25th Cong.of IAHR. II. 728-735 (1993)
• [文献書誌] 藤田 一郎: "ビデオ画像解析による河川表面流計測の試み" 水工学論文集. 38(登載決定). (1994)
• [文献書誌] Akihiro Tominaga: "Hydraulic Characteristics of Flow in Compound Channels with Rough Flood Plain" Proc.25th.Cong.of IAHR. 89-96 (1993)
• [文献書誌] 冨永 晃宏: "複断面水路を通過する洪水波の水理特性" 水工学論文集. 38(登載決定). (1994)
• [文献書誌] 水鳥 雅文: "アルゴスブイを用いた常磐沖および黒潮続流域における鉛直流速成分と拡散特性の観測" 1993年度日本海洋学会秋季大会講演要旨集. 258-259 (1993)
• [文献書誌] 水鳥 雅文: "海面の凸凹を測る-海洋の循環構造を解明-" エネルギーフォーラム. 1993 11月号. 128 (1993)
• [文献書誌] 高橋 司: "k-ε乱流モデルを用いたフロントを伴う下層密度流の解析" 土木学会年次学術講演会講演概要集. 48. 758-759 (1993)
• [文献書誌] 福嶋 祐介: "保存性及び非保存性の傾斜サーマルについて" 土木学会新潟会研究調査発表会論文集. 11. 64-69 (1993)