研究課題/領域番号 |
05555152
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 賢二 東京大学, 工学部, 教授 (40107529)
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研究分担者 |
貝谷 吉英 荏原総合研究所, 環境研究所, 研究員
滝沢 智 東京大学, 工学部, 助教授 (10206914)
山本 和夫 東京大学, 工学部, 助教授 (60143393)
大垣 眞一郎 東京大学, 工学部, 教授 (20005549)
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キーワード | 中空糸膜 / 浄水 / 膜分離 / 限外ろ過 / 精密ろ過 / 細菌除去 / ウィルス除去 / 省エネルギー |
研究概要 |
本年度は、中空糸膜を用いた外圧式濾過による省エネルギー浄水処理システムの開発を目的として以下の知見を得た。まず、ファウリングの少ない膜素材と高い透過流束を維持する運転方法・洗浄方法について、1.上水道の実原水について凝集剤無添加による長期にわたる膜濾過実験の結果、疎水性膜より親水化処理した膜のほうが差圧の上層が小さいことが分かった。ただし、時間が経過するとこの差が縮まる。2.(1)逆洗浄、(2)空気揺動洗浄および(3)両者の併用の3種の洗浄方法について検討した結果、洗浄効果は(1)、(2)、(3)の順番でよくなり、(2)と(3)の違いは小さい。用いたポリエチレン製の柔軟な膜では空気揺動洗浄が効果的である。3.公称分画径0.1μmの膜を水道原水に直接適用する場合、膜差圧の上昇を抑えるためには膜透過流束を0.03m/hに以下とすべきである。4.逆洗浄と空気揺動洗浄についての水理的検討により、異なる膜長さ、膜糸径、膜孔径で実験した結果を大型装置にスケールアップする際の方法について知見を与えた。さらに、膜糸間の懸濁物質を防ぐ膜モジュールの設計法について、5.省エネルギー運転のため膜面流速を小さくすると、膜糸の分散度が懸濁物質の蓄積を決定する大きな因子となり、蓄積を防ぐためには膜糸を密にするか或いは十分分散させるかのどちらかで、中途半端な分散度ではかえって蓄積が加速されることが分かった。また、ポリエチレン製外圧式中空糸精密濾過膜について、細菌・ウイルスの除去性能の基礎的評価を行った。加えて、対象を限外濾過膜に広げて、E.coli B株、E.coli K12(F+)をそれぞれ宿主菌とするDNA T4ファージ、RNA Qβファージの阻止特性を調べた結果、6.分画分子量数万の限外濾過膜でも上記ウイルスを完全に阻止するものではなく、大きさの異なるT4とQβの阻止率が同じ膜が存在することが分かった。さらに現在オゾン処理等を組み合わせた膜処理システムの基本特性も調べている。
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