研究課題/領域番号 |
05555158
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷川 恭雄 名古屋大学, 工学部, 教授 (70023182)
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研究分担者 |
野田 良平 (株)コンステック, 技術本部, 本部長
笠井 豊 日本電気三栄(株), 工業計測技術本部, 課長
新井 洋一 (株)リコー, 中央研究所, 主席係長研究員
黒川 善幸 名古屋大学, 工学部, 助手 (50242839)
森 博嗣 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80157867)
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キーワード | サーモグラフィー / 表面温度 / 経時変化 / 剥離検知性能 / 検出波長帯 / 最小検知温度差 / 空間分解能 / 反射波 |
研究概要 |
現在、建物外壁仕上げ用のタイルやモルタルの剥離検知に使用されている赤外線映像装置の仕様は、検出波長帯、最小検知温度差、空間分解能などがまちまちであり、いまのところ最適な仕様に関する一定の見解は得られていない。そのため、本年度は、熱画像撮影時の気象および周囲の環境条件が検知性能に及ぼす影響、並びに使用する赤外線映像装置に起因する機種依存性について調べるために、一連の実験を行った。なお、この実験は壁面の表面温度の経時変化の追跡、およびセンサの検出波長帯が剥離検知性能に及ぼす影響の確認という二段階に分けて実施した。 今回の実験によって、以下の事項が明らかとなった。 1)中波長帯(MW,5〜9μm)の映像装置による熱画像は接触温度計によるテストパネル表面温度の実測値とほぼ等しく、この波長帯のセンサを用いれば観測対象物の材質にかかわりなく(反射の影響を受けることなく)、正確に観測対象物の表面温度分布を計測することができる。 2)モルタル面の計測においては、短波長帯(SW,3〜5μm)、中波長帯(MW)および長波長帯(LW,8〜13μm)の機種による映像に特に大きな差は見られず、いずれも波長帯においても正確な剥離検知が可能であると考えられる。 3)日中のタイル面計測においては、LWは画像上部に天空の影響が強く現れ、画像下部に屋上スラブの影響が強く現れるため、剥離部の同定は固難である。 4)SWによる日中の観測時に強く影響する太陽光線の反射は、今回の実験ではほとんど確認されなかった。これはタイル面にほぼ正対して撮影を行ったためであると考えられる。 5)夜間の計測時にタイル面にライトを当てたところ、SWの画像にはその影響が強く現れ、LWの画像にも若干の影響が確認された。このことから、実構造物の調査時には、建物周囲に存在する街灯などの影響が現れるものと考えられる。一方、MWの画像にはその影響は全く確認されなかった。
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