研究課題
試験研究(B)
本研究では、タイルやモルタルなどの建物外壁仕上げ材の剥離診断に対するサーモグラフィー法(赤外線映像解析法)の適用性(適用範囲、適用限界など)を明らかにした。本年度の研究成果は以下のとおりである。1)実大試験体による実験的検討 面積・深さなどの異なる人工欠陥(剥離、空洞)を有する試験体を作成し、実験室レベルでの本方法の適用限界を明らかにした。実験変数としては、(1)人工欠陥の面積・深さ・厚み、(2)季節・日射量・計測時刻、(3)壁内外の温度差・風速(温湿度調整室内で実験)、などを取り上げた。特に、今回の実験では、日射の影響による熱流を等価外気温に換算したソルエア気温を用いた室温制御によって実験の再現性の向上を図った。2)データ解析プログラムの開発 市販の装置に内蔵されているデータ解析プログラムを建物外壁の剥離診断用に用いるためには、(1)幾何補正、(2)熱勾配補正、(3)汚れ、風速による補正、(4)2〜3値化手法、(5)可視画像との重ね合せ手法などについて考慮する必要があるが、今年度は、上記(1)〜(3)の解析プログラムを開発した。3)有限要素法による非定常熱移動解析 前年度に引き続き、3次元有限要素解析により、各種欠陥を想定した建物外壁の非定常熱移動解析を行った。解析変数としては、欠陥の面積・深さ・厚み、壁内外の温度差、加熱・冷却の効果などを取り上げ、実大実験体による実験結果との検証を行うとともに、理想的な状態における本方法の適用限界および最適計測条件を明らかにした。
すべて その他
すべて 文献書誌 (4件)