画面上で、図形の在るところと無いところ、言い替えれば特定の形象の画面上での分布状況をどのように考えるかという問題がある。都市街路などのおおまかな自己相似図形についてフラクタル次元を統計的に測定する際、図形が存在しない空白部は無視できない影響を与える。そこで統計的な手法では粗視化の適性範囲の検討方法などが提案されている。本研究のように積極的にフラクタルな形象を発生させることを目的とする際には、空白部は全くの空白ではなく、フラクタルな形象が一定のレベル以下で潜勢化していて隠れていると考えねばならない。問題を簡略化するため1次元の例として道沿いの特定物の分布に関して考察した。 屈曲の2次元モデルでは風景としての景観や建築のヴォリュームのシルエットをどのように表現できるかを検討したが、山並の切れ目などにおいては上記と同様の状況を考えるべきであり、これは平成6年に計画している異種のフラクタルの重ね合わせとも関係する。従って以上の考察は平成6年に纏めて報告することとする。 ところで、数学的で決定論的なフラクタル曲線は、通常、ジェネレーターとしての生成規則が各回とも同一であることから自己相似性を得ている。ところがこのようなフラクタル曲線は、単調な形態となりがちであり、応用範囲に限りがでてくる。ここではフラクタル曲線が不動点の極限集合の閉包を得るという点にのみ着目し、レビィのC曲線の生成規則を変更することによってどのような図形が得られるか、また、その数学的な特徴について考察した(11.研究発表参照)。
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