異種のフラクタルの重ね合わせに関して、フラクタルフォームは元来複数の写像から構成されるものであることに着目し、特徴的な写像の組み合わせに関して平面上での検討を行った。 まず一つの線形変換による縮小写像を考え、次の写像を基本形式として取り上げた。 (1)全体から一つの点に集中していくもの;これはランドマークのように一つの中心を周囲に対して誇示するものである。 (2)動線的に進みながら一つの集積点に近づいていくもの;今回は直線的に進むもの、雁行して進むもの、渦巻状に進むものについて検討した。これは空間構成における軸線的なものを想定している。 次に、以上の単純な図式のそれぞれに組み合わせる交換として、環境条件に対応づけられるような縮小・平行移動・回転という操作を検討した。このことによって空間構成に対して描かれる単純な形式が、想定した条件によって変形されたものが得られた。 結果としての図形は奇妙に捻じれていたり、形式性が読み取りにくくなったりしており、フラクタルの解説書で紹介される典型的な図形とは異なっている。典型的な例は限られた単純な写像の対からできており、より自由に写像を組み合わせても意味のある形象を作りうることを示した。変換のN回目の結果としての図形と、N回目までの写像の履歴も示した図とでは、読み取られる形式性も異なり、このことから、フラクタルフォームは多義的な空間図式を含みうる事も示した。
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