研究課題/領域番号 |
05555163
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
西浦 忠輝 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力室, 室長 (20099922)
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研究分担者 |
内田 昭人 奈文研, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (90142017)
朽津 信明 東文研, 国際文化財保存修復協力室, 研究員 (50234456)
川野辺 渉 東文研, 修復技術部, 主任研究官 (00169749)
松本 修自 東文研, 国際文化財保存修復協力室, 主任研究官 (80099960)
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キーワード | 文化財保存 / 木造古建築 / 外装塗装 / 丹塗塗装 / 合成樹脂 / 耐久性 |
研究概要 |
・ヒノキおよびケヤキ材で試験用手板を用意した。 ・<膠+鉛丹>と、近年開発された各種の建築外装用塗料(有機顔料で着色された合成樹脂塗料)、および、これら合成樹脂塗料のクリヤー(顔料を含まない無色塗料)に鉛丹を混ぜたものを試験片用手板に塗装した。尚、この場合、それぞれの塗料について、プライマー処理したものとしないものの2種類を作成した。 ・特に環境が厳しく、丹塗り塗装に大きな問題を抱えている木造古建築として、島根県大社町の日御碕神社を選定し、ここを実験サイトとして、現地調査を行うと同時に、環境条件の計測を行っている。 ・実験サイトとしての日御碕神社地域、および東京国立文化財研究所屋上において、塗装試験片の屋外曝露試験を行っている。 ・前年度行ったウェザオメーターによる劣化促進試験および前年度より継続して行っている屋外曝露試験に供した試験片の塗膜表面の状態を顕微鏡観察した。 以上の結果、今までの所で得られている知見は以下の通りである。 ・<膠+鉛丹>は容易に剥落し、その耐久性は極めて低い。 ・合成樹脂塗料は、一般的に膠塗装に比べて耐久性が大幅に高い。 ・鉛丹を顔料とする塗料は変色、褪色が起こりやすく、特に合成樹脂塗料における黒化現象は特異である。鉛丹以外の顔料を用いた合成樹脂規格品塗料ではこの様な現象はない。 ・プライマー処理は、程度の差こそあれ、かなり有効である。 外観上で色、艶の変化が少ないものでも、顕微鏡レベルではかなりの塗膜表面の荒れが観察される。
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