研究課題/領域番号 |
05555170
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 直弘 京都大学, 工学部, 教授 (80026179)
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研究分担者 |
今田 清久 宮崎大学, 工学部, 教授 (00037748)
中西 和樹 京都大学, 工学部, 助手 (00188989)
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キーワード | ゾル-ゲル法 / シリカ / 相分離 / 細孔構造 / 表面修飾 / 分離機能 / 人工骨 / 多孔体 |
研究概要 |
珪素アルコキシドを数種の水溶性高分子の共存下、酢酸を触媒として加水分解することにより、マイクロメートル領域に種々のサイズの絡み合い多孔構造を持つ、湿潤シリカゲルを作製した。この絡み合い構造は、ゾル-ゲル転移とスピノ-ダル分解機構による相分離が、ほぼ同時に起こることによって形成される。このゲルを湿潤状態のまま、種々の温度および濃度のアンモニア水溶液に浸漬し、その後所定の乾燥・熱処理を行って、得られたゲルのナノメートル領域の細孔径分布を、窒素吸着法によって測定した。前年度の結果をより良く解釈するため、浸漬する溶液の体積もパラメーターとして考慮した。その結果、浸漬するアンモニア溶液の濃度が高いほど、あるいは温度が高いほど、平均細孔径は大きくなり、最大20nmにまで至るが、溶媒量が少ないほど構造変化は緩慢に起こることが明らかになった。この結果は、ミクロポア領域の構造を多く含むゲルにおいては、溶媒への溶出過程が全構造変化の律速段階となっていることを示している。また、この浸漬処理過程においては、ミクロポア領域のゲルの構成単位は、浸漬後速やかに溶出し、次元数2に近い体積フラクタルの構造から、滑らかな表面を持つ表面フラクタルへと変化してゆくことが、小角X線散乱装置によって観測された。さらに、このシリカゲルを疑似体液に浸漬して、骨類似のアパタイトを表面に形成させることができるが、このメカニズムとして非常に細かいシリカゲル骨格の溶出と再析出過程が、重要な役割を果していることが見出された。
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