1)層状ポリケイ酸塩であるカネマイト(NaHSi_2O_5)にアルキルアンモニウムイオンをイオン交換反応により挿入することによ得られる多孔体の生成過程を検討した。本来、多孔体合成においては、イオン交換後酸処理により縮合反応を行い三次元化を行うのであるが、酸処理を行わずに反応を追跡した。経時的にXRDで結晶相の変化を追跡すると、初めに層状構造を有すると思われる相(ラメラ相)で生成し、次いで六角網目構造を有するヘキサゴナル相が生成した。NMR測定により、カネマイトは単相構造であるのに対し、ラメラ相はケイ酸シートが2つ以上縮合していることが明らかとなった。また、アルキルアンモニウムイオンの濃度を変化させたところ、濃度が低い場合はヘキサゴナル相が、高い場合はラメラ相生成した。 2)細孔径の制御や機能性基の導入を目的として、多孔体細孔表面にあるSiOH基の反応性を利用し、各種アルコールとの縮合反応を行った。エタノール等の小さなアルコールに関しては、アルコールの沸点で還流し、より多きなアルコールに関しては、溶媒としてベンゼンを加えて還流した。細孔表面には、1nm^2当り1.3〜2.2基のアルコキシド基が生成し、アルキル鎖が長くなるに従い修飾基数は減少した。平均細孔径はアルキル鎖長の増加に伴い、未修飾の狭い細孔径分布を保ちながら減少した。また水蒸気吸着により表面特性を調査したところアルキル鎖長が長くなるに従い、疎水性が増加したことが明らかとなった。
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