研究課題/領域番号 |
05555181
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小波 秀雄 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (40186713)
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研究分担者 |
白鳥 裕一 サンケミファ(株), 研究開発室長
丸野 透 NTT, 境界領域研究所, 研究員
林 孝好 NTT, 境界領域研究所, 主任研究員
渡辺 明 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (40182901)
伊藤 攻 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006332)
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キーワード | 非対称 / フタロシアニン / 蒸着膜 / 膜物性 / 非線形光学材料 / 光物性 / 結晶構造 |
研究概要 |
前年度の研究において、我々は低対称フタロシアニン2,3:12,13-dibenzophthalocyan-nato-Zn(II)(ZnDBPc)のOMBD(Organic Molecular Beam Deposition)法による蒸着薄膜が高い光学非線形性を示すを見いだした。また、DBPcを薄く蒸着させた上にチタニルフタロシアニン(TiOPc)を重ねて作った二重膜ではさらに1桁高い非線形性が現れることを発見した。さらに、得られた蒸着膜はデバイスとしての応用に必要な10mm×13mmのサイズをもち、その全体にわたって一定の方向への均一な異方性を示すことが分かった。 今年度はさらにこれらの光学非線形性の高い領域の探索を行なうとともに、このフタロシアニン誘導体がなぜこのように高い非線形性を示すのかについて主としてX線構造解析、原子間力電子顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、紫外光電子スペクトル(UPS)などを用いて研究を進めた。 その結果、非対称化フタロシアニンの膜は、高い真空度下での蒸着によって面内で一方向に伸びる秩序を形成すること、ZnDBPcは三斜晶系の構造をとっていること、そのために、高い異方性をもった非線形性が出現するという事実が分かった。また、そのような結晶成長がいかにして進行するかというメカニズムについてもかなり詳細に明らかにできた。すなわち、このような高い結晶性は、ZnDBPc分子と基板材結晶の原子配列との整合の結果によってもたらされるものではなく、ZnDBPcの分子間相互作用の結果として起きるものである。このような結晶成長の様子は、これまでに知られている他のフタロシアニン錯体のそれとはまったく異なっている。
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