本研究の課題にある「快切削性」とは機械加工が可能という事で、旋盤、ドリル等で切削機械加工ができるものである。「結晶化ガラス」は、ガラスを作成し、熱処理をして、その内部に結晶析出させたものである。申請者らは全く新規な希土類含有のマシナブル結晶化ガラスを発明した。本研究においては、実用化に結び付けるために、析出結晶量を最大にして機械加工性との関係を調べる事、加工仕上げの表面粗さの向上を目的として、その基礎データを得る事を目的とする。成果を纏めると、1)Y203-CaO-Al2O3-SiO2系ガラスにおいては、結晶化処理をして得られる結晶化ガラスにおいて、針状のCa_4Y_6(SiO_4)_6Oオキシアパタイトが析出しているがLa2O3-CaO-Al2O3-SiO2系ではCa_4La_6(SiO_4)_6Oオキシアパタイト結晶と同定できない未知結晶の析出が観測された。そこでイオン半径がLaとYの中間のNdでLaの一部を置換して同様の条件で結晶化ガラスを作成してその析出相は綿棒状独特の形状をNdオキシアパタイトであることを見いだした。2)これら希土類含有オキシアパタイト結晶は、試料表面結晶と内部結晶が観察され、その結晶成長速度を測定した。結晶成長速度より求めた結晶化の見かけの活性化エネルギーは 約360KJ/molであった。3)得られた試料を旋盤で切削加工を行い、その表面粗さを測定した。その結果5-7μmの値を得た。これは、市販の他の組成の試料に比較して1-2μm大きい値であった。実際試料を作製して旋盤で切削加工を行い、その表面粗さを測定し評価まで行った。良い切削加工結果であり、目標をほぼ達成した。日本板硝子(社)の、マシナブル結晶化ガラスとして実用開発され、商品カタログとして発売されてている。4)切削加工後の表面粗さの改良の目的で、Al2O3-SiO2系に希土類を添加した組成にゾル-ゲル法を適用して、微細な結晶の析出が確認され、実際、切削加工が可能であった。
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