研究課題/領域番号 |
05555184
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
那須 三郎 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00030057)
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研究分担者 |
森本 一夫 三菱重工業(株), 技術本部高砂研究所, 主任(研究者)
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キーワード | 非破壊検査 / メスバウアー分光 / 原子炉材料 / 2相ステンレス鋼 / 熱脆化 / 内部磁場 / フェライト / オーステナイト |
研究概要 |
本研究の目的は、原子炉など金属材料を用いた大型構造物の使用時に於ける物性・材質変化を、in-situで測定しうるメスバウアー分光用・電子・X線・γ線・同時検出器を開発し、原子炉内壁などの非破壊検査に応用せんとするものである。平成5年度に本研究課題である、構造物に装着しうる反射電子・反射X線・反射γ線メスバウアー分光用検出器が完成したので、それらの改良を行いながら現有設備であるデータ集積メモリ及びデータ解析用パーソナルコンピュータを用いて研究室内にて極厚2相ステンレス鋼の測定を行い、2相ステンレス鋼の熱脆化の要因を明らかにした。この極厚2相ステンレス鋼は原子炉主冷却管用材料である鋳造2相ステンレス鋼CF8Mであり、その使用温度300℃及び400℃での30時間から3000時間に及ぶ経時変化、即ち、物性変化、フエライト量の定量・組成変化等の測定は原子炉内壁材の非破壊検査を可能にしている。測定の結果オーステナイト量及びフェライト量とこれらの焼鈍温度・焼鈍時間との間には顕著な相関は見いだされなかったが、強磁性体であるフェライト中でのFe原子の示す磁気モーメントに比例したFe核位置内部磁場の値は顕著に焼鈍時間と共に変化し、これら内部磁場の変化はフェライト内での組成変化、例えば、Cr濃度の変化などに対応していると解釈できる。これらの成果は1995年5月に開催される第13回NED国際会議に提出している。非破壊検査としての有用性が確実となったので、具体的な現場でのin‐situ測定と、検出器の小形化を目的としたPINダイオードを用いたセンサーの開発が急がれる。
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