研究分担者 |
熊谷 直和 大機ゴム工業株式会社, 主幹研究員
吉岡 英明 吉田工業株式会社, 主幹研究員
秋山 英二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70231834)
川嶋 朝日 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50005964)
浅見 勝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20005929)
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研究概要 |
耐高温硫化性と耐高温酸化性を兼ね備えた材料として,本年度にアモルファスAl-Nb-Si合金ついて検討を行なった結果,ニオブを50at%程度含む三元合金はAl-Nb二元合金よりも優れた耐高温硫化性を示し,金属ニオブに匹敵することが明らかとなった.さらに,高温酸化環境では,Al-Nb合金上には保護性のスケールが生成せず,直線則に従った酸化が起こったが,約50at%のニオブを含む三元合金の酸化は放物線則に従い,その耐酸化性はクロミアスケールを形成する合金に匹敵した.このようにケイ素の添加により耐硫化性が向上したのは,ケイ素の添加によりアルミニウムの優先硫化が抑制されたことにより,また,耐酸化性の向上は内部酸化にたいして抵抗のあるニオブシリサイドがアモルファス合金の結晶化により生成し,“ペスト"と呼ばれる合金の崩壊を防ぎ,緻密なスケールの生成を促進することによることがわかった. この組成のスパッタ膜を実用金属材料のステンレス鋼にコーティングし,その耐高温硫化性を調べた結果,800℃以下の温度ではステンレス鋼の耐硫化性は著しく改善され,耐高温硫化性コーティングとして機能することが明らかとなった. 水蒸気によるフロン分解用触媒として,Ni-Zr-W合金について検討したところ,Ni-Zr合金の高活性を維持し,その寿命がNi-Zr二元合金に比べ,著しく改善された.種々の時間反応させた合金の解析から,主に活性を担っている化学種は,触媒反応によって生成したフッ化水素と合金中のジルコニウムとの反応から生成したフッ化ジルコニウムであることが判明した.さらに活性の低下は,そのフッ化ジルコニウムが水蒸気と反応し,低活性な酸化ジルコニウムに変化することが原因であり,この触媒の長寿命化には,フッ化ジルコニウムの安定化が必要となる.
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