研究概要 |
1)Siセンサーへの応用 縦型抵抗炉を用い,脱酸アルゴン雰囲気中1550℃で,SiO_2過剰のムライトるつぼにFe-Si合金を溶解し,Si濃度と起電力の対応を調べた。その結果,ムライト固体電解質による起電力値は熱力学計算値と良く一致した。また,21〜60%の高濃度のSiを含む溶鉄について,1500℃で同様の測定を行ったところ,やはり,ムライト固体電解質による起電力値は熱力学計算値と良く一致した。 脱酸アルゴン雰囲気中1400,1500℃で黒鉛るつぼ中に炭素飽和Fe-Si合金を溶解し,起電力測定を行った。約0.2%Si以下の領域ではSiO_2+2C→Si+2COの反応によりムライト中のSiO_2が還元され,ムライト/溶鉄界面近傍にSi-richな領域が生じるために,起電力が高起電力値(高Si濃度に対応する)側に偏倚した。約0.2%Si以下の領域では,起電力値は熱力学計算値と一致した。これらの結果より,ムライトSiセンサーが実用可能であることがわかった。 2)実用化への検討 化学量論組成のムライト(3Al_2O_3・2SiO_2),Al_2O_3過剰またはSiO_2過剰のムライトを用いて上記(1)の実験を行った。Al_2O_3過剰ムライトは起電力値の安定性に乏しく,SiO_2過剰のムライトは炭素飽和溶鉄に対して1500℃で理論値と大きく異なった値が得られた。また,標準極としてCr-Cr_2O_3系の他に,Mo-MoO_2糸,Nb-NbO系を用いたが,理論起電力値が得られなかった。
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